Lloyd’s Antiques

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センスバイ ロイズ・アンティークス 新宿伊勢丹 2026.10.13

美しきベントウッド。大量生産から一点ものへ

 

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ベントウッド(曲げ木)家具の世界で一時代を築き上げたオーストリアの名門、

「ヤコブ&ヨゼフ・コーン(Jacob & Josef Kohn)社」の美しいベントウッドチェア

ベントウッドチェア 扉絵

家具の歴史は、19世紀半ばにミヒャエル・トーネットが確立した「蒸煮曲げ木」技術によって大きく変わりました。

ベントウッドチェア 背面曲げ木部分

それまで家具といえば、職人が一つひとつ木を削り出して作る「受注生産」が主流でしたが、

この技術の誕生により、軽くて丈夫な椅子の「大量生産」が可能になったのです。


そのトーネット社の最大のライバルとして台頭したのがJ&Jコーン社でした。

同社は「ウィーン工房」の著名な建築家らと協働し、大量生産される大衆家具であったベントウッドチェアに、アール・ヌーヴォーなどの洗練された芸術性を吹き込みました。

工業製品と芸術を見事に融合させた同社の功績は、家具史において高く評価されています。


明治時代に輸入家具として日本へもたらされたベントウッドチェアは、

大正時代に入ると国内でも「秋田木工」などを筆頭に独自の製造が本格化します。

日本の「曲げ木」は、ヨーロッパの技術をベースにしながらも、日本人が古くから持つ精緻な木工技術によって独自の進化を遂げました。

まっすぐな木目を見極め、気候に合わせて蒸し時間を調整し、職人が自らの感覚と力加減で曲げていく工程は、

まさに熟練の「手仕事」の極みです。

大量生産の仕組みを取り入れながらも、その根底には常に職人の確かな手仕事が息づいていました。


このチェアの大きな魅力は、座面に施された扇や植物モチーフの優雅なエンボス(型押し)装飾です。

ベントウッドチェア 座面

かつて大量生産の中で生み出されたこのチェアですが、時を経て使い込まれたことで、模様の凹凸に深い陰影とアンティークならではの飴色の艶が生まれました。


現代の職人の丁寧な「手仕事」による修復が施されることで、再び実用的な家具として蘇っています。

職人の手仕事

職人が一つひとつ木を削り出して作る受注生産品はもちろんのこと、

大量生産品として誕生した家具であったとしても、

長い歴史と年月、人々の営み、そして修復の職人の手を経ることで、

二つとして同じものがないかけがえのない「一点もの」へと育っていく。

これこそがアンティーク家具の最大の醍醐味と言えます。

ベントウッドチェア 後ろからの写真

JACOB&JOSEF KOHN ベントウッドチェア

 

軽快で持ち運びがしやすく、背もたれから脚部へと流れるような曲線美。

空間に置くだけで絵になる芸術品のような存在感です。

ダイニングチェアとしてはもちろん、書斎のデスクチェアや、お部屋の片隅に飾るディスプレイチェアとしても最適です。

 

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