デンマークを代表するデザイナーの一人、フィン・ユールによってデザインされたFD133、通称スペードチェアと呼ばれるパーソナルチェアです。家具の彫刻家とも呼ばれた彼の象徴的なプロダクトは、極めて繊細に削り出された木材が描き出す流れるような曲線が特徴でありました。反面、時代の変遷とともに生産効率を求められ、彼のデザインアプローチにも変化が現れます。フランス＆サン社によって生産されたこちらのチェアは、そのような変化の中で生み出された逸品。大衆的でスタンダードな構造に寄せながらも、彼本来の独創的な意図が垣間見え、結果的には彼の後期のデザインを代表するアイコン的なプロダクトになりました。特徴的なアームレストは絶妙に湾曲しており、細かなデザインバランスを窺い知る事ができます。時代を経ても色褪せない名作の一つと言えるでしょう。

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