家具を支えるものとは何か。物理的に言えばそれは脚ではないでしょうか。大部分の家具にはそれぞれの特徴をもった脚があります。その「脚」たちは古くから職人たちがそれぞれの工夫と技術を駆使し作られ、家具の支えかつ美を担ってきました。
今回ファクトリーが紹介するのはその脚のレストアつまり修復です
デンマークから買い付けされました1960年代(推定)のホールウェイユニットです。いわゆる収納テーブルなのですが、モダンな愛らしさもあり、それでいて若干のクラシックさも感じさせてくれるデザインとなっています。
実際にこちらの工房に持ち込まれて見てみると脚にかなりのぐらつきがあり、古い接着剤を取り、引っこ抜いてみると脚と支柱を繋げる重要な役割を担うダボと呼ばれる木製の丸棒が中で折れていました。
この状態ですといくら接着部分の表面同士を接着材でくっ付けたとしても「脚」として機能は無く、いずれはぐらつき始め外れてしまいます。
我々ファクトリーの職人はできるだけ元の構造を変化させることなく、機能を取り戻す事を心掛けています。ですのでこの折れたダボを同じように作り直し、脚を固定させることが今回のレストアとなりました。
まず脚の方に新たなダボを固定します。ドリルで垂直に穴を開け、長さを調節しカットした丸棒を接着材を流した穴に入れて固定させます。このようなレストアに対して最も注意すべき穴を開ける角度です。ダボを受ける穴に対して垂直になっていないと脚を付ける際にぴったりとは接着せずどこかしらに隙間が空いたりします。少しの角度のずれでこのようになってしまいますので注意が必要です。
続いて支柱の方にも穴を開けていきます。入れる深さは深い分だけ強度は増しますが、もう片方の生きているダボと同じくらいにします。これで接着の準備が整いました。
レストアの作業の中で私たちを悩ませるのはこの接着時です。垂直なもの同士を接着するのにはそんなに苦労はしませんが、今回の脚のように、接着部に対して固定のための工具をかけるべき箇所がデザイン上湾曲していたりする場合工夫が必要となってきます。ここでそれぞれの職人独自の方法が施され腕の見せ所となっています。工具の使い方もアイデア次第では様々です。
支柱の穴と接着面に接着材をつけ、クランプと呼ばれる固定用工具でしっかりと固定させ、接着剤が完全に固まるまではその状態で置いておきます。
これで脚のレストアは終了となりますが、この商品は天板も含め全体が艶が無い状態ですので、
この後フレンチポリッシュによる上塗り塗装が施されます。
この塗装のレストアに関してはまたいずれ詳しくご紹介しようと思っていますので、お楽しみにしていて下さい。
非常に綺麗な杢目の合わせの天板ですが、艶が無い状態ですのでフレンチポリッシュ塗装で艶を出すことにします。
まず下準備として表面の油分を完全に取り除き、上塗りを施します。
また次回以降に詳細な塗装技術については取り上げますので、お楽しみにしていて下さい。
家具を支える脚も重要なアンティーク品です。様々な脚を観る際にはデザイン性に加え、職人が技術を凝らした機能性にも注目してみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した商品の詳細は、こちらからご覧いただけます。塗装が施されたばかりのホールウェイユニットをぜひご覧にいらしてください。
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