Lloyd’s Antiques

Journal

ロイズ・アンティークス 青山 2023.10.25

FINN JUHL サイドボード with トレイユニット

Know the "New " - Brazilian × Danish modernism -
新しいなにかを知る。
それは私たちにとって、
生活を豊かにするキーポイントです。 
毎秋、Lloyd's Design Weekとして発信される企画展。
今年はヴィンテージ家具を通して、
新たなことを知る楽しみを提供したい、
という想いを念頭に、
Know the "New " をテーマに掲げ展開します。
 
 
さて今回は、デンマークを代表する建築家・デザイナーである
フィン・ユールの作品、「サイドボード with トレイユニット」、
こちらをご紹介いたします。
 
 
「家具の彫刻家」と称されたフィン・ユール、
そんな彼のアートが随所に感じられるこちらのサイドボード。
1955年にデザインされた、
HOUSE OF FINN JUHL製の一台です。
 
まず目につくのは淡い色味の白色と水色の引き戸が、
チーク材のフレームの中に美しく収まっている様子。
 
 
2つの引き戸は、吊られた状態になっているため、
引き戸下部にはレールがありません。
目に映る場所に造作が設けられていないため、
まるで絵に描いたような作品に仕上がっています。
 
 
 
白色の戸を開けると、縦幅が均等な三段のシェルフになっています。
こちらはシンプルかつチーク材の杢目が活かされたデザインになっています。
 
 
この部分を一見しただけではわかりませんが、
彼の完璧なリピテーションとリズムは、既にここから始まっています。
 
反対側の水色の戸を開くと、左側は広く開いた収納、
右側はグラデーションの美しい五段のトレイユニットがはめ込まれています。
 
 
左側から3、1、5と奇数の段で構成されており、
3では横幅を広く、1では縦幅を広く、5では飽きのこないグラデーションを、
それぞれがそれぞれの構成を引き立たせるデザインが成されています。
 
完璧と言っても遜色ないこのアート作品、
実はまだ完璧と言わしめる魅力が詰まっています。
 
こちらのグラデーション、遠目から見れば美しいのですが、
実は不自然な箇所があります。
 
 
色相を考える時に、美しい構成としては
中央、もしくは一番上か一番下の段と戸の色を同色にするのが一般的です。
ですがこちらは上から二段目と戸の色が同色になっています。
 
これは彼の完璧なモデュールから由来しています。
グラデーションとは遠目から見ると綺麗に見えますが、
戸を開ける瞬間、近くで見ると一瞬ごちゃっと見えてしまいます。
 
しかしこの構成にすることで、戸を開けるときの目線の角度により、
一番色の面積の広い二段目と戸の色が同色になります。
これにより近くで見ても違和感なく
グラデーションが目に映ることが出来ます。
 
 
 
完璧なまでの彼のデザイン性とアート性、
ぜひ実物をご覧いただき、お楽しみください。
 
会期: 10月20日(金) - 11月5日(日)
会場:ロイズ・アンティークス 青山/ロイズ・アンティークス エゴイスト
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