
今回は玉川店に新たに仲間入りしたアイテム
アールヌーヴォーナーシングチェアについて紐解いてまいります。
1,英国アンティーク「ナーシングチェア」の由来と歴史的背景
ナーシングチェアとは19世紀から20世紀初頭のヨーロッパで使用された
母親や乳母が赤ちゃんのお世話をするために特別に作られた
チェアを指します。低い座面は赤ちゃんを抱っこしたままでも
腰を掛けやすく、足がしっかり床につくため安定感があります。
当時の低いベビーベッドとも高さが合わせやすい設計でした。
また、当時の女性の重厚な衣服にあわせてアームを排除した
デザインが採用されています。当時の女性たちの暮らしに寄り添う
工夫が随所に感じられる椅子であるのです。
2,アール・ヌーヴォー様式が宿る象嵌(インレイ)

次に背面に施されている象嵌細工にフューチャーします。
象眼細工とは色や木目の異なる木材を薄く切り出し、模様に合わせて組み込む
装飾技法です。花や葉、リボン、楽器、幾何学模様などを繊細に表現
できることから、ヨーロッパの高級家具に広く用いられました。
このナーシングチェアでは背面の部分に草花を想起させるようなデザインが
施されているほか、脚部にまで象眼細工があしらわれています。
曲線的な造形とマッチした美しいデザイン性が際立ちます。

3,英国伝統テキスタイル「リバティプリント」

リバティプリントは1875年にイギリス・ロンドンで創業したリバティ社
によって生み出されたテキスタイルデザインです。
19世紀末のアーツアンドクラフツ運動の影響を受け、自然を
モチーフにした繊細な花柄や植物柄が数多く制作されました。
こちらのチェアにはリージェンシー時代の紳士クラブを彷彿とさせる
「Regency Tulip(リージェンシー・チューリップ)」というファブリックに
張替えております。白いチューリップの花弁と葉を大胆に切り取った
デザインと繊細な椅子の造形を楽しめます。

今回ご紹介したナーシングチェアは、母親が子どもの世話をしやすいよう
工夫された実用的な家具でありながら、象嵌細工による職人技、
そしてリバティプリントが持つ豊かなデザイン文化をあわせ持つ特別な一脚です。
ぜひ玉川店でお座りになってみて下さい。
《ロイズ・アンティークス 玉川》
東京都世田谷区玉川3-17-1 玉川高島屋S.C. 南館6F
TEL 03-5716-2950
tamagawa@lloyds-antiques.com







