アルネ・ノレル(Arne Norell / 1917–1971)は、
20世紀半ばの「北欧ミッドセンチュリー黄金期」を代表するスウェーデンの家具デザイナーであり、実業家です。
ハンス・ウェグナーやフィン・ユールといったデニッシュモダンの巨匠たちが「木材の造形」を追求したのに対し、
ノレルは「上質なレザーとスチール・木材の融合」、そして構造そのものを美しく見せる独自のスタイルを確立しました。
代表作に、
「Ari」

「Ilona」

シリーズが挙げられますが、今回ご紹介するチェアも、
彼らしいデザインに富んだ作品の一つです。

こちら、1964年に発表した「Sirocco」は、コーア・クリントに代表される一連のサファリチェアの文脈を汲みながらも、
北欧の美しいクラフトマンシップを凝縮した名作です。

木製フレームの接合に釘や金属パーツを一切使わず、
厚手のレザーベルトとフレームのテンションだけで組み上げられているのが大きな特徴。


※一部の留め具等には金属箇所はございます。


現代で解体する場面はあまりないかもしれませんが、元々イギリス将校の遠征用のチェアにインスパアされたスタイルは、
解体し持ち運ぶ事が可能な構造となっており、それらもしっかりと踏襲されたコンセプト。

コーア・クリントのより簡素化されたスタイルと比較すると、サイズも一回り大きくより安楽性に優れ、
ラグジュアリーな雰囲気が感じられますね。


実際に腰掛けてみると体重によって接合箇所が締まり、見た目以上の座り心地の良さがあります。

サファリスタイルらしく軽量な作りで、くつろぎの場面に合わせて容易に移動されることも容易。
しっかりと「使っていける」点もよいポイントですね。
そして何と言っても最大の魅力はダイナミックなレザーの質感。

厚みのあるレザーは、ステッチのライン、金属のパーツと相まって更なる存在感を放ち、
ヴィンテージならではの経年変化は素晴らしいものがあります。

ノレルの作品は、彼の没後も家族によってブランドが引き継がれており、
現在も「Norell Möbel」から高品質な家具が生産されております。
こちらのSiroccoも、一つのシリーズとして現存しておりますが、
やはりヴィンテージピースでしか表現できない質感、存在感といったものは間違いなくあるでしょう。

大きなダメージはない上で、このような艶感が増していくコンディションから、
根本的な品質の高さが伺えますね。


脚部にはそれを証明するかのようにブランドのシールが残っております。

サイズ自体もW660×D660と、一般的な張りぐるみのパーソナルソファと比較すると小振りなサイズ。
現代の住環境においても取り入れやすく、
ヴィンテージピースの存在感をコーディネートでお楽しみ頂ける事でしょう。

素晴らしいデザインアプローチ、それを高品質で再現する職人の技術、
そして約60年という時間が育んだ経年変化。
全てが相まって「完成」した、ヴィンテージの逸品。
是非、実物に腰掛けて頂き、その魅力を体感頂ければと思います。








