Lloyd’s Antiques

Journal

ロイズ・アンティークス ファクトリー 2022.06.10

"Antique=Sustainable" アンティークがアンティークになる理由

ロイズ・アンティークスがお送りするサステナブル企画。
"Antique=Sustainable"
計4回のジャーナル配信を通して、私達のサステナブルに関してメッセージを発信していきます。
 
3回目の今回は、「アンティークがアンティークになる理由」。
作製されてから、100年という長い年月を経て、現代まで存在するアンティーク家具達。
その背景には、長く使うことを想定し、
繰り返し修理が出来る、家具自体の構造や、
それらを修復するレストアラーの存在など、
多くの工夫や技術が隠れているのです。
 
今回は、修復の一部のご紹介と共に、
アンティークが長く存在する理由に迫って参ります。
横浜市に拠点を置く、ロイズ・アンティークスのファクトリー。
 
 
張替え、木工、塗装、そしてランプの配線等、
それぞれのレストアラーが、「ロイズクオリティ」の
再現に努めております。
 様々な修復を行う工程で、
作り手の拘りや、長く使用出来る構造などが見えてきます。
例えばチェアの組み直し。
ネジや、釘の使用は最低限にされており、
ダボと呼ばれる棒状の小片で組まれている構造の為、
一度バラし、新たに接着することで、
元の強度を取り戻すことが出来ます。
木工においてのネジなどを使用は、
一時的に強度は得られるものの、
結局のところ材料に穴を開けることは、
ダメージを与えているのと変わりません。
 
長期的な視点で見ると、固定した箇所から
グラつきが発生したりと、
材料本来の強度を下げてしまう要因にもなってしまう事も。
手間の掛かることではありますが、
ダボで組む構造は、その後の修復等も考えられた、
理にかなったものなのです。
そんな合理的な構造のフレームをバラした後は、
接合部に残った古い接着剤をこそぎ落とします。
チェアの組み直しにおいて、
実は、この作業が一番重要との事
古い接着剤が残っていると、接合面の接する面積が減り、
強度が弱まってしまいます。
また、新たな接着剤との接着強度も弱いため、
細かなところまで丁寧に取り除きます。
ハンマーの音と共にバラされていく、
「派手」な工程と裏腹に、
このような地道な作業が、
今後、長く使っていく重要なポイントになるんですね。
工程の中で、一本ダボが折れている箇所がありました。
修復を試みた形跡があるため、
以前にも一度組み直しをしたのでしょう。
ですが、生憎、ダボの修復までの技術が無かったのか、
大量の接着剤を穴に流し込むことで、
どうにか修復をしたようです。
こういった場面にも、家具のストーリーを感じる事ができ、
アンティークの魅力が増しますね。
今回は、新たなダボを作成し、
本来の構造を再現します。
折れてしまった箇所をフラットにした上で、
ドリルで再度穴を開けます。
簡単な作業に見えますが、
寸分の狂いなく、真っ直ぐ穴を開けることは、
大変難しく、高い技術が要求されます。
正確に開けられた穴に、同じ直径の丸棒を差し込みカット。
新たなダボが再現されました。
後は、それぞれの接合部に接着剤を添付しながら、
組み上げていきます。
これで工程は終了。
乾燥すれば、完了です。
チェアの組み直し一つでも、実に多くの構造の工夫や、
それに対応するレストアラーの技術を垣間見る事が出来ました。
その他、ロイズのクオリティを目指すために、
より細やかなレストアも行われております。

ブックケースの底面には、

「下駄」を設置し、床面への傷などをケアします。

 

 こちらでは、ステンドグラスを止めてる押し縁から、

数ミリ釘が出ていたので、再度止め直し。 

 

通常の仕様には全く問題の無い箇所ですが、

より高い完成度を求める為、

細かな箇所まで抜かり無くチェック修復を行っていきます。

  

棚板のバランス調整は、

木っ端を設置する場合もあれば、

板自体を彫り込む場合もあります。 

棚受けにラバーのシールなどを張れば、

簡単に調整出来ますが、

根本的な解決になっておりません。 

  

末永く、お使い頂けるよう、

家具の構造から解決させていきます。

 

こうして、修復された家具達が、

店舗へ移送されていくのです。

 

100年前に作製された家具が、

アンティークとなって現代まで存在している理由。

 

 

その背景には、末永い使用を考えられた構造と、

レストアラーの高い技術が隠されているのでした。

  

また、6/12()には、ロイズ・アンティークスウエアハウスにて、

弊社レストアラーによる、アンティーク、ヴィンテージ家具の修復作業を

ご覧いただける催しを予定しております。
日々のお手入れから、使用に対するお悩み、家具の構造等、
実演を交えながらご説明させて頂きますので、お気軽にご相談下さい。

 

詳細は店頭スタッフへお問い合わせ下さい。

 

"Antique=Sustainable"ジャーナル。

 

最終回である次回は6/12()配信予定。

テーマは「英国におけるサステナブルと、アンティークの在り方」です。

是非、ご覧くださいませ。 

 

Tags: