青山では久しぶりにアーツ&クラフツ様式の家具が入荷してまいりました。
今回は1910年代に作られたとされるビューロー。
ちょうど英国での流行の終焉ころのものでしょうか。
ウィリアム・モリスらが提唱したアーツ&クラフツ運動。
確立されたそのスタイルには基本とされる4つの特徴があります。
Truth To Materials,
Simple Forms,
Naturral Motifs,
Vernacular.
素材への忠実さや自然物のモチーフ、
自然環境や伝統などを重んじる特徴は
現在取りざたされる問題とも近い部分があるように感じます。
2つ目のSimple Forms (素朴なフォルム)は
華美な装飾よりも、
素材の良さや構造自体を意匠とするアーツ&クラフツ様式のわかりやすい特徴。
このビューローも、彫刻や象嵌といった装飾はありませんが、
両サイドのシェルフ部分や上部にみられる
特徴的な笠木の構造が目を惹くデザインとなっています。
本棚に囲まれるように佇むビューローの天板を開くと
中からきれいに張り替えられたレザーが顔を出します。
小さな引き出しやレターラック、
インクボトルを置いていたと思われるくぼみ。
ビューローの内部構造はひとつひとつ個性があって面白いですね。
天板を開く際は、弓のような形の取っ手を引き、
一段目の引き出しを手前に出して支えとして仕様します。
ゆえに一段目だけは、小口部分に生地が貼られており
接する天板に傷がつかないようにという
作りての細やかな気配りが感じられます。
ビューローを囲むコの字型の天板には
本だけでなく、
小さなテーブルランプを置くのもお勧めです。
100年経ってもなお実用することのできる家具は
このような思想を持った人々が良質なものづくりを続けてきたからこそであり、
だからこそアンティーク家具としての価値が生まれるということを
改めて感じさせてくれる一点です。












《ロイズ・アンティークス 青山》
東京都渋谷区神宮前3-1-30
Tel 03-5413-3666
Mail aoyama@lloyds-antiques.com
ロイズ・アンティークス 青山のアイテムはこちら