Lloyd’s Antiques

Journal

ロイズ・アンティークス ファクトリー 2022.05.26

ロイズクオリティーを追求して

先週にファクトリーよりアップさせて頂きました塗装に関する記事はご覧になられていただけましたか?私より熟練のレストアラーの塗装に関するものでしたので、私自身非常に興味をもって拝見させていただきました。塗装はあらゆる工程の最終段階となりますので、アンティーク家具の美しさを表現するうえでのターニングポイントとなります。もしご覧になられていない方はぜひ。

今回ご紹介させていただくのは、ビクトリアンゲームテーブルのレストアになります。当時イギリスの上流階級の社交場で、カード遊びやチェスを楽しむためにつくられたテーブルになります。こちらの商品は非常に重量感があり、デザイン性も高く本当にゲームをするために使われていたのか?と疑うほど芸術性に優れた商品となっています。

レストア内容としては、天板の突板の浮きを止める作業とその天板を受ける本体のほうに新しくフェルトを貼るという事が主になります。フェルトは機能的には無くても支障はないのですが、天板を可動させていくと若干の擦れがあるためロイズのクオリティーに対しては良くないという事で新しく黒フェルトを貼ることに致しました。

まずは天板を外し、突板の浮きを留め直します。突板とはアンティーク家具にはよく使われる材木を薄くスライスして地板に貼られている木です。木材の素材感や年月による様相の変化を楽しめるものですが、その年月により接着力を失い剥がれたり、空気が入り込み浮いてきたり、膨らんだりしてきます。アンティーク家具では多く見られる問題箇所です。それを1箇所1箇所丁寧に留め直していきます。

画像のように浮いている箇所を剥がれないように出来るだけ拡げ、接着剤を入れやすくします。このように拡げられない箇所には注射器を使い接着剤を注入することもあります。

反対側にフェルトが貼られている天板なので、それをよけて固定していきます。 面積の小さい箇所なのでそこを重点的に押える形にしないといけません。

固定し直した後は状況に応じて塗装を施し仕上げ直して処理します。

続いて、フェルトのを本体のほうに貼っていきます。

画像の様に天板を90度回転させ使用されるゲームテーブルですが、幾度も使われていくと回転させるたびに本体の塗装が傷になってくるので黒いフェルトを貼ります。フェルトの色も販売スタッフと話合い商品に合うように決定します。この部分もロイズのこだわりの一つでもあります。

支柱から天板の受けとなる箱を外し、縁に新しいフェルトを貼ります。

フェルトを貼ることで更に高級感が出てきました。

しかしまだ問題は多くあり、支柱裏と脚に虫食いの穴が多くみられました。

これも一つ一つの穴に殺虫剤を注入しパテ埋めをし、色をつけわからないようにキレイに仕上げていきます。

更には支柱に取り付けてある美しい彫刻が施された装飾部分にも一箇所欠損があり、これをパテで成型し、同じように掘り込み等を入れ、仕上げていきます。

以上で今回のレストアは完了となりました。 作業をしながらにも様々な問題点も見つかり、スムーズな作業が困難な場合もありますが、そこにも喜びを感じ私たちは日々レストアに励んでいます。
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