Lloyd’s Antiques

Journal

ロイズ・アンティークス ファクトリー 2022.05.21

家具の塗装について

アンティーク・ビンテージ家具の修復において、大変重要な工程である塗装。
 
 
 全体の印象を左右する、大きな要素を占めることは、言うまでもありません。
 
 
 
アンティークならではの質感や、過去に使われてきた歴史を尊重しつつ、
それぞれの家具や材質に適した方法で、作業は進められていきます。
 
 
例えば、北欧ビンテージを中心に使用されているローズウッド。
 
 
ロイズ・アンティークスでは、フレンチポリッシュでの仕上げを基本としております。
ギターの塗装などでも馴染みがありますね。
 
 
ラッカー等の仕上げと比較し、多くの工程と時間を必要とする方法ですが、
仕上がりの艶感は大変美しく、デリケートな塗膜であるが故、
材そのものの質感を存分に感じて頂ける伝統的な塗装方法です。
 
 
工程の一部をご紹介致しましょう。
 
 
上の写真は、白木の状態から、オイルステインで着色した段階です。
この時は、表面の塗膜はまだありませんので、マットな質感ですね。
ここからサンディングパットで表面を研磨し、
微細な凹凸を平らにしていきます。
 
 
研磨は、最終的な塗装の密着に大きな影響を与える重要な作業。
表面の状態を見極めながら進めていきます。
そしていよいよ、フレンチポリッシュによる仕上げです。
 
 
日本で言う「タンポ刷り」。
綿を綿布で包んだタンポに、ニスを含ませ、
実に何百回と塗装を塗り重ねていきます。
 
 
大変手間の掛かる作業であることは容易に想像できますが、刷毛を使わないためより表面が滑らかになり、まるで鏡のような艶感が生まれます。
 
 
 
広い面積の天板を、ムラ無く、
一定の力と速さを保ちながら作業を進めるには、
熟練した職人の高い技術が不可欠でしょう。
仕上がりはご覧の通り。
 
 
ローズウッドの杢目と共に、
フレンチポリッシュの塗膜が大変美しく輝きます。
 
 
質感に深みが生まれ、ビンテージ家具の魅力を存分に引き出していますね。
 
 
皆様も是非、アンティーク、ヴィンテージ家具をご覧になる際は、その塗装の仕上げにも注目してみて下さい。
きっと、レストアラーの思いや、意図などを感じる事が出来るでしょう。
 
また、6/12(日)には、ロイズ・アンティークスウエアハウスにて、
弊社レストアラーによる、アンティーク、ヴィンテージ家具の修復作業を
ご覧いただける催しを予定しております。
日々のお手入れから、使用に対するお悩み、家具の構造等、
実演を交えながらご説明させて頂きますので、お気軽にご相談下さい。
※詳細は店頭スタッフへお問い合わせ下さい。
 
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