Lloyd’s Antiques

Journal

ロイズ・アンティークス ファクトリー 2022.08.31

ロイズのマルチスキル

久々のファクトリーからの投稿となります。

今回スポットを当てていきたいと思うのは、アンティーク商品に付随しております鍵とシリンダーです。
お客様にとって主役はもちろん家具本体なのですが、アンティークの世界では鍵などの本来脇役となる付随品に於いても注目すべき魅力を持ち合わせています。
ロイズの職人はマルチスキル化つまりありとあらゆるモノに対してのプロフェッショナルなレストアラーを目指しております。その中で、もちろん鍵・シリンダー等のレストアも執り行っております。
今回問題となったのは鍵・シリンダーはしっかり揃っているのですが、鍵穴に鍵を差し込み回しても空回りした様な感じでカチッとロックが掛からないという問題が起きていました。この事からシリンダー内部で異常があると判断できました。まず本体からシリンダーを外し、中の状態を見てみます。

 シリンダーのカバーを外すと中に無くてはならないバネが有りませんでした。
このバネの力によってロックをかけた状態を維持できるという仕組みになっています。アンティーク商品の中には使用年月によってこのバネが脆弱化し、中で折れてしまっている事がよくあります。その場合もシリンダーとしての機能を果たしていないのでメンテナンスが必要となります。
新しくバネを作るのですが、金属片を切って形に合わせ加工していきます。もちろんバネとしての強度と弾力性を持っていなければいけません。

画像の様にバネが外れないよう引っかかり等の加工も行い取り付けていきます。これで機能性を持たせる事ができました。このバネの取付も様々で切り込みを入れてそこに薄い金属板をはめ込みバネを固定しているケースもあります。

これで鍵を回してカチッとしっかりロックが掛かる状態になりました。
ファクトリー倉庫内には、多種多様のアンティークキーやシリンダーがストックされておりそれを見ているだけでもアンティークの奥深さを知ることが出来ます。

 なかなか注目させないアンティークキーですが、細かい技術が施させているケースもあり、一生失くしたくないなと思わせてくれる鍵をロイズで探してみてもいいのではないのでしょうか。

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